ボランティアガイドと巡る今治「より深く今治を知りたい、歴史を学びたい!ボランティアガイドがご案内します!」
波止浜の町並みと小島散策
かつての塩田と芸予要塞跡を歩く。
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JRに一駅だけ乗る
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JR今治駅から列車で次の波止浜駅へ。今治で生活していると移動の手段はほとんどが車になってしまい、列車で移動することが非常に少なくなっています。普段あまり見ることのない風景を感じ、スローな旅を楽しむことができればとあえて列車を使うことに。
塩田跡
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波止浜駅からは徒歩で波止浜港へ…。
ボランティアガイドの方にお話を聞きながらゆっくりと歩く。かつては波止浜一帯が塩田だったという。1683年に波止浜に県内で最も古い「入浜式塩田」が作られ、その後何度も増設され大塩田となりました。昭和34年の化学製塩の時代となり、廃止されるまで波止浜は大いに繁栄したそうです。
今、かつての塩田跡は、造船関係の工場や住宅地となっており、塩田造成に功績のあった長谷部九兵衛の碑があります。また、このあたりで汐を止めるため牛をいけにえにしたといわれており、その慰霊のために作られのか?汐止明神が残されています。
龍神社
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波止浜塩田を築造する時に代官の園田藤太夫が近江から「八大龍神」という神様をお招きして、龍神社として建立しました。海面埋め立ての難工事を成功させるために神のご加護をと作られたものです。半分水に浸かった鳥居は、龍神様が行き来しやすいように河口に建立されたもので当時は遠浅が広がっていた参拝口の石段の前にあったそうです。
八木亀三郎邸
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八木亀三郎(1863年~1938年)は、波止浜出身の実業家です。波止浜の塩を帆船に積み込み遠くロシアのニコライエフスクで交易し、帰りの船には鮭や鱈を大量に積み込みました。やがてカニ漁に目をつけ、蟹工船を就航させて大きな利益を得ました。その後も多くの要職を歴任しました。八木亀三郎の屋敷は今も波止浜に残されています。大正初期に建てられた近代和風建築で、各地から高級資材を取り寄せて建てられました。裏山を取り込んだ回遊庭園は、様々な石が歩くごとに変化するように配置されています。
波止浜港
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波止浜港の待合室横に灯明台があります。「和式灯台」とも呼ばれ、明治になって洋式灯台が築かれるまでは、灯台の役目を果たしていました。幕末のころ、全国には100基余りあったと伝えられ、波止浜港に残る灯明台もその一つです。
この灯明台は花崗岩(かこうがん)の切石を積み重ねた石造灯明台で、嘉永2(1849)年の築造です。塔身部には「金毘羅大権現(こんぴらだいごんげん)」の文字が刻まれ、航海安全を神に託す、当時の海事関係者の思いが込められています。
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波止浜港から水軍の本拠地来島、砲台の島小島、そして馬島をまわる小さな渡船に乗って小島へ向かいます。波止浜港は深い入り江になっており周辺にはいくつかの造船所があります。造船中やドック入りしている船を間近で見ることができます。
小島
波止浜港から小島まではわずか10分ほどで到着。(およそ1時間ごとに就航しています。)
小島は周囲4kmほどの名前のとおり本当に小さな島です。ここには日清戦争当時、日露戦争を予感した大日本帝国がロシア海軍の侵攻を防ぐために築いた海岸要塞があります。明治32年から2年間の突貫工事で、巨費を投じ、砲台や赤煉瓦の兵舎、火薬庫などが作られました。実際には使われることはありませんでしたが、砲台は旅順や朝鮮海峡に送られました。こうした施設が当時のまま残っている貴重な近代遺跡です。
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※遺跡をまわる周囲1.8kmの遊歩道には2500本の椿が植えられていて、椿の名所としても知られています。海水浴場、キャンプ場も整備されています。また、釣りのポイントもたくさんあり、釣り客の多く訪れています。島内にはトイレはありますが、コンビニや飲食店はありませんのでご注意下さい。
急流観潮船
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小島からは急流観潮船で今治港まで帰ります。通常の定期船は大島の下田水港から出航していますが、人数が揃えばチャーターも可能です。来島海峡大橋の真下を走り、海流の早い馬島の周辺などをまわり、今治港へ。大自然を利用した壮大なアトラクションです。