しまなみ海道「今治」探訪

ボランティアガイドと巡る今治「より深く今治を知りたい、歴史を学びたい!ボランティアガイドがご案内します!」

ボランティアガイドと巡る「今治城」

 知らなかった今治城を詳しく解説!1時間かけてじっくりまわります。

観光ボランティアガイドが案内 今治城探訪!

観光案内所でガイドの申込み

観光ボランティアガイド
今治城観光案内所

 土日祝日は、観光ボランティアガイドの方が数名待機している案内所がオープンしています。場所は、今治城の駐車場入り口付近。自動車で来られる方には気がつきやすい場所ですが、徒歩や自転車で今治城まで来られる方には少しわかりにくいかもしれません。正面入り口、第一駐車場の入り口の小さな建物です。ガイドさんがいらっしゃるのは土日祝日の9時~16時までです。平日にガイドを希望する場合は、事前に「今治地方観光ボランティアガイド事務局」まで申込が必要。また、タイミングによってはガイドさんの手が空いていないこともあるため、確実にガイドを希望する場合は事前に申し込まれることをおすすめします。滞在時間にあわせてコースも考えて下さるので予約時にご相談下さい。

今治地方観光ボランティアガイドHP>>

ボランティアガイドさんとお城探訪に出発!

お城探訪に出発

 今日の担当ガイドさんは阿部さん。お城や歴史についてとても詳しい男性のガイドさんです。よろしくお願いします!

 観光案内所を出て、正面入り口から今治城に登城します。今日ガイドをお願いした時間は約1時間半。団体人数や滞在時間などを聞いてどのコースで案内するかを、頭の中で計算するそうです。

 ガイドさんは勉強会を開いたり、各自調べ物をしたりしながら、日々勉強をされており、阿部さんも楽しいお話(冗談もたくさん!)を交えながらどんなふうにお客さんにわかりやすく案内ができるか、楽しんでもらえるか、を考えていらっしゃるそうです。自分が理解していることはもちろん、人にわかりやすく説明する、というのは難しいものなんですよね!

日本三大水城

海水を引き込んだ堀

海水を引き込んだ堀

 江戸時代の初め、築城の名手として知られた藤堂高虎公によって築かれた今治城。高松城(香川県)・中津城(大分県)とともに「日本三大水城」として有名で、全国的に大変珍しい、堀に海水を引き入れた海岸平城です。

 今治城のすぐ近くには海。お堀の中には、海水魚にチヌやボラが泳いでいます。雨降りが続くと堀の水が濁り、水の中が見えにくいのですが、よく見ると海水魚が泳いでいるのが見えるそうです。阿部さんが魚がよく見える辺りを教えて下さり、「帰りに時間があったらあの辺りをのぞいてみて下さい。」地元の方、ガイドさんならではの面白いスポットを教えて下さるのも、ガイドをしてもらう楽しさの一つですね。

立派な石垣と鉄御門

野面積みの石垣

野面積みの石垣

16tもの巨石、勘兵衛石

16tもの巨石、勘兵衛石

 今治城の石垣は、400年前に築かれた当時の姿がそのまま残っています。築城当時は全国の城の中ではトップクラスの高さであったそうです。石積みは自然石をそのまま使う野面積み。これまでじっくりと石垣を見たことなどありませんでしたが、こうして見てみると大小様々な石が本当にうまく積まれています。正面にひときわ大きな石が目につきます。これは「勘兵衛石」と呼ばれるもの。普請奉行であった渡辺勘兵衛にまつわる面白い話も聞かせていただきました。

 入り口に頑丈そうな大きな門があります。これは平成19年に復元された鉄御門(くろがねごもん)。市民の寄付で復元されたものです。当時阿部さんも瓦を寄付されたそうです。瓦に名前や言葉などを書く自書寄付でした。「この中のどこかに私の名前の瓦があるんですよ、数百年後に僕の名前入りの瓦が発掘されたりしてね。」と笑う阿部さん。歴史はこうして続いていくのだな、と思うと何だか感慨深いものがありました。

鉄御門

平成19年9月に再建された鉄御門

 この立派な鉄門。鉄門とは城門の扉の表面に、鉄板を隙間なく張りつめた門のことです。城の防御によって最も重要になるのが城門、こうした鉄が張られた城門は織田信長が安土城築城の際にはじめて使ったと伝えられています。この門につかわれている冠木(かぶき)は、直径1mほどもある大きく立派な松です。このような立派な門構えは、天下人あるいは大大名クラスの居城に比肩しうるものだそうです。それほどまでに徳川将軍家からの信頼が厚かったということなのですね。

 鉄御門の再建は幕末期の写真や普請帳、旧櫓台の発掘調査を元に、できる限り可能な再現を行ったそうです。これは本当に見ごたえがあります!

冠木

直径1mもある大きな冠木

鉄御門

前面は全体にわたり鉄板を鋲で打ち付けている

石垣

復元された石垣

藤堂高虎公の銅像がお出迎え

今治城

今治城

 鉄御門を抜けると、藤堂高虎公の銅像があります。ここで何か気付きませんか?と阿部さん。そうです、この銅像は戦国武将の銅像としては珍しく、鎧兜を身につけていない、平服姿です。これは高虎公が今治城を築城した江戸時代は、戦国時代が終わり平和な世であったので、今治城築城とともに城下町今治の発展を考え、見廻っている姿をモデルにし、平服姿にしたと言われています。この銅像は日本彫刻界の第一人者で文化勲章を受賞された中村晋也氏の制作です。また台座の正面に掲げる「藤堂高虎公」の書は、今治市出身の書家、文化勲章受章の村上三島氏の揮毫によるものです。銅像は徳川将軍家のあった江戸の方角を向いて建っているそうです。馬もお辞儀してますね(笑)銅像ひとつとっても、いろいろなエピソードがあり、いつもなら記念写真こそ撮るかも知れませんが今までさっと通り過ぎてしまっていたことを少し残念に思いました。

藤堂高虎像

彫刻家中村晋也氏制作の藤堂高虎像

いよいよ、登城!

 今治城は、中が資料館になっています。外から眺めるにはもちろん無料ですが、中に入るには観覧料が必要です。せっかくなので中に入ってみることにしました。入り口で入館料500円を支払います。この観覧料金には、天主閣、御金櫓、山里櫓、鉄御門内部観覧の共通券が含まれています。天主は6階建ての構造のようです。エレベーターはないので、階段で上がります。ちょっと息が切れますが(笑)、最上階からの眺めは最高だそうです。これは楽しみ!

 お城の中の展示物は数多くあり、全国の城の中でもトップクラスの収蔵数を誇ります。様々な甲冑や、刀、火縄銃、今治城絵図や藩主の書画など今治藩ゆかりの武家文化資料等が展示されています。

 1点1点じっくりと見てまわるも、説明書きなどは随所にありますが、歴史にあまり詳しくない私には読んでもやはりよくわかりません。そんなときにはやはりガイドさんが本領発揮です。これは是非見ておいてほしい!これはオススメ!という重要資料をピックアップして効率よく説明して下さります。その説明もとてもわかりやすく、本や資料で読むものとは理解度が違います。

 江戸時代に描かれた「今治城絵図」では当時の今治城下の様子がよくわかります。これは地元に住む人が見たらとっても面白いと思います。ぜひ今治市民の方にも見ていただきたいですね。

 さらに驚いたのは、徳川幕府の歴代将軍からの朱印状や石高の目録などの貴重な資料です。「犬将軍」と言われた5代将軍綱吉公や、暴れん坊将軍(笑)8代吉宗公からの朱印状が現存しています。これにはびっくりしました。

資料館

館内の資料館には貴重な資料が数多く保存されている

資料館

当時の城下の絵図を説明してくれる阿部さん

資料館
資料館
資料館
資料館

 高虎公の肖像画もありました。さきほど見た銅像の高虎公とはちょっと違いますが。。。かなり貫禄のある方のようです。阿部さんの話によると、高虎公はかなりの「大男」だったそうです。身長が180cm、体重は110kgを超えていたという話も。まるでプロレスラーかお相撲さん?(笑)舞の海さんくらいでしょうか。当時の日本人の体格からすればかなり大きかったと思います。戦場でもさぞかし目立ったでしょうね。高虎公の旗さしものに餅が描かれていることにも触れ、面白いいい伝えもお聞きしました。こんな話も教えてもらわなければ知らなかったことばかり。

天主閣よりからお殿様気分でお城下を望む

 最上階にのぼってきました。ここからは、今治の城下町はもとより来島海峡大橋、石鎚連峰まで見渡すことができる絶景ビューポイント。街をぐるりと一望できる場所というのはあまりないかもしれません。お天気がよかったら大三島あたりまで見えるそうですが、この日はあいにくの曇り空。ちょっぴり残念でしたが、城下はとてもきれいに見えましたよ。こうして見てみると、本当に海がすぐそこなのです。海がつながっています。高虎公は、それまで城のあった国府城(今治城から南方約4kmの山城)では、発展性が乏しいと判断し、軍事的に枢要でかつ海陸の交通や経済発展にも便利なこの地に今治城を築いたといいます。先ほど見た今治城絵図を思い出し、中堀、外堀のあった場所を今の町並みを見ながら確認します。こうして今治の町を上からじっくりと眺めることは初めての経験です。今でも、「米屋町」「室屋町」などの町名には当時の名残があり、高虎公が天主から町を見ていた頃には、城下はどんなふうに賑わっていたのかな~、と思うととてもわくわくしました。つかの間のお殿様気分を味わえました(笑)。

来島海峡大橋

最上階からの眺め。遠くに来島海峡大橋が見える。

お殿様?

城下を見下ろす、気分はまるでお殿様?(笑)

ちょこっと寄り道

櫓の展示物を見学

 今治城天主閣の見学はこれで終わりですが、観覧料金内で、御金櫓の郷土美術館、山里櫓の古美術館も観覧できるので、こちらにも見に行くことにしました。それから、再建された鉄御門、多聞櫓の2階部分も見学することができます。総工費がなんと10億円というからにはちょっと見ておきたい!という興味から、行ってみましたがこれが驚きの壮大さ!総床面積は700平米にも及ぶもので、ケヤキ材、松材、ヒノキ材、杉材、など使っている木材が素晴らしいのです。驚いたことに釘を一本もつかわずに建てているそうです。あまりの豪華さ贅沢さに思わず「旅館としてつかってほしいね~」などと冗談を言いながら見学しました。

再建多聞櫓

再建多聞櫓

櫓門の2階

櫓門の2階部分は見学可能。

 ここでガイドは終了です。もちろん、滞在時間にもっと余裕があれば、堀や城内の隅々までもっともっと詳しくガイドしてもらうこともできます。

 最近では、歴史やお城が好きな若い女性の観光客の方も多いそうです。またお城めぐりを趣味とされている方や、事前にかなり下調べをされて来られ観光客の方も増えたため、いろいろな質問をされたり問い合わせに応じるのは大変だといいます。それでもボランティアガイドの皆さんは、今治城を訪れる方に素敵な旅の思い出を持って帰っていただこうと、いろいろと勉強し、工夫して楽しいガイドを心かげていらっしゃいます。私自身初めて知ったことがたくさんありました。何度か訪れたことのある今治城ですが、意外に知らないことばかりです。とてもユーモアのある楽しいお話で本当にいい勉強になりました。阿部さん、ありがとうございました!

今回案内をしてくださったボランティアガイドさん

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